ひろしコンフォーコ

ツィンク奏者が物知り顔であれこれ語ろうとするものの、ちっとも上手くいかないブログ。

【レポ】『コルネット(ツィンク)とサクバットのためのワークショップ』に行ってきた!!

2月11日に神戸で開催された『コルネット(ツィンク)とサクバットのためのワークショップ』に行ってきたので、さっそくレポ!

 

参加者は、開催地の神戸、京都、滋賀、三重、名古屋、そして大分から計6名が集まった。大分から来られた方はフェリーで登場するという強者っぷり。それだけ貴重な機会だということがこういったところでも伺える。
聴講も少数来られてたが筆者も聴講でお邪魔した。

 

講師は、この会の主催者でありツィンク奏者の上野訓子氏とサクバットの和田健太郎氏。
伴奏・アシスタントは笠原雅仁氏。リュートとテオルボ、ツィンクを担当されていた。

 

タイトルで()書きしているように、コルネットというのはツィンクのこと。そして、サクバットは大雑把に言えば16世紀~17世紀に使われていたトロンボーンのことだ。
ツィンクにはコルネットという名前もあるのか?トロンボーンはサクバットって呼ばれてたのか?ということについては、改めて記事にするのでお楽しみに!

 

ということで、ワークショップの内容について書いてみようかなと。

 

いっちゃうよ!!!

 

レクチャーⅠ「17世紀装飾のための教則本の紹介と実践」

まず、どの時代にどんな音楽家が装飾に関する教則本を出版しているのかといった歴史の概要について説明があり、その後、実際の曲で装飾を実践するという内容。各装飾の名前やその特徴といったことにも説明が付けられた。

また、現代では動きに変化をつけたい時などに曲の流れに合わせてルバート(テンポを揺らす表現)させることも多いが、この時代では動きをつけたい時でも基本的にルバートはせずに“テンポの中”で表現することなど、この時代の慣習についても紹介された。

装飾の実践では、この時代によく登場する定型のフレーズに当時の教則本に記載されている装飾例から選び、実際に装飾をつけて演奏するという流れ。


これは個人的な感想だが、参加者の装飾付き演奏や講師のレクチャーを聴いていて思ったことは、装飾は難しければいいのではないのだなぁ、ということ。センス良くとか、そういうことでもない。それよりも大切なのは、その装飾が意味するところを知り、それを表現できているかということ。

 

初っ端から大変有意義なレクチャーで、すでに胸いっぱいの筆者である。

 

レクチャーⅡ「トロンボーン500年の歴史とレパートリー」

二つ目のレクチャーはトロンボーンの歴史に関するもの。特に16~17世紀のサクバットについて。

当時出版されたいくつかの文献からサクバットの運指表(どのポジションで何の音が鳴るのか示す表)を参考に、現在との運指の違いやその理由、利点について講師の実演を交えて語られた。サクバットの運指と当時のピッチとの関連についても触れられた。

先ほどのレクチャーもそうだったが、この会は特に講師による実演が多く別途料金を払いたくなってしまった(笑)
それほど素晴らしい演奏だったし、実演によって説得力のあるレクチャーになっていた。
また、レクチャーを受けてから演奏を聴くことで講師の造詣の深さを窺い知ることも出来た。

 

サクバットについてはあまり詳しくない筆者にとっては非常に興味深い話が盛り沢山だったのだが、ここで全部書いてしまうわけにもいかないのでここまでにしよう。

 

参加者によるアンサンブル

レクチャーのほかにも、午前午後でそれぞれアンサンブルの時間が設けられた。参加者に与えられた課題曲を題材に講師からの指導を受けられるわけだ。

午前の部で扱った楽曲は以下の通り。

 

G.Piuli:Salve, o clemens, a8

G.Gabrieli:Canzon duodecimi toni a10

 

午後の部のアンサンブルで取り上げられたのは次の2曲。

 

H.Schütz:An den Wassern a8

G.Priuli:Sonata prima a8

 

午前午後で共通して言われていたのは、歌詞の重要性。
「歌を模倣する」という当時の“歌”を重んじる価値観から、歌詞の持つ響きやイントネーション、言葉の意味などからヒントを得て、如何に歌と同じように表現するのかといった説明があった。
歌詞の付いていない曲でも、“歌”を念頭に置いて歌詞がある曲と同じように演奏するように、とも。

 

 

今回、聴講での参加だったが、聴いているだけでも実に多くの示唆に富んだアイディアを得ることが出来て、非常に恵まれた機会となった。
なかなかツィンクとサクバットだけのアンサンブルをこれだけの人数で聴く機会もないので、そういった意味でも貴重な会であった。

 

第2回の開催を求む!!

 

 

カッコつけて筆者とか言ってみてるけど、なんともムズがゆい・・・

 

ツィンクってなんやねん!という方にはこちらを。

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