小さな部屋の中で収まる小さな世界。
昔は思ったのよ。
色んな所に行ってみたい。
色んなものをみたい。
色んな場所で色んな人に出会ってみたい。
色んな経験がしたい。
世界って広いんだろうなぁ~って。
そんな妄想を繰り広げてたわけよ。
憧れとも言うのかな。
少ないお小遣いやバイト代で映画観に行って、その道中で目にするものに新しい世界を感じたり、今まで知らなかったものに出会ったり。
もっと知りたいと思ったし、もっと新しいものに触れたいと思った。
そういうのが好きだったし、面白かった。
でも、今は違う。
世の中は便利になって、わざわざ外に出て行かなくても新しい世界を見つけることが出来るし、新しい人と出会うことも出来る。
いつだって好きな時間に好きな映画が観られるし、買い物だって出来るし、知識やスキルを身に付けることだって出来るし、友達も出来る。
インターネットさえあれば、なんだって出来る。
もちろん、外に出て体験することと違いがあることもあるだろうけど、どちらかが劣ってるという訳でもないと思う。
コミュニケーションに関しては、特に理由がないのであれば、直に会って話をしたり盃を交わすような機会もあった方がいいとは思うけれど。
世界は小さいなぁ。
子供の頃、トランペットを片手に思い描いた世界はあんなに大きかったのに。
こんな小さな部屋の中でほとんど全てのものが収まってしまう世界。
僕が思っていたのとは、少しも似ていない世界。
なんだかセンチメンタルである。
でも、世界ってでけぇなおい!
そう思わせてくれる人もいる。
ツィンクの師匠だったり、以前書いた植松伸夫だったり、憧れの音楽家たちだったり。
師匠のレッスンに行った時は毎回のように思う。
世界ってすげぇな。
こんな人いんのかよって。
特にこれといった取柄とかあるわけじゃないのに悟ってしまっている僕だけれど、こんな風に思わせてくれる存在が身近にいるのは、これ以上にないくらい嬉しいものなのである。
なんだかんだ言って、世界はデカいし、小さい。
僕はどちらの世界も愛しているのだ。